捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
昨夜も思ったが、キッチンに立つ紗耶香を見るのは数年ぶりで、昔はよく料理をしてくれたことを思い出す。
そんなことを考えていると、目の前に湯気の上がったサラダとオムレツ、焼きたてのパンにコーヒーが並べられた。
「ありがとう」
お礼を言った俺に本当に今度は驚いたのだろう。
「どうしたの? 何か企んでるの?」
完全に不信感をあらわにした紗耶香に、それも仕方がないと思いなおす。
「なにもないよ」
そうは言っても紗耶香は信じていないようだった。
早く起きたことで、なんとか瑠偉と紗耶香を送る時間を確保できたことに安堵しつつ、俺は急いで支度をすると、二人と一緒に車へと向かった。