捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

しばらく車内の音楽だけがやけに大きく聞こえて、ボリュームを落とす。

「昨日言ってたこと」
どうしても聞かなければと口を開けば、紗耶香がチラリと挑むように俺を見る。

「俺だけだったってどういうことだ?」
できるかぎり冷静に聞いたつもりだが、紗耶香にどう聞こえたかはわからない。

「どういう意味って? それ以外にどういう意味があるの?」
紗耶香もそんな俺に、可能な限り感情を押し殺した声で答える。

「あの時、お前はネクストの社長と関係があっただろ」
静かに事実を述べれば、零れ落ちるのではないかと思うぐらい、紗耶香の大きな瞳が見開かれた。
「誰がそんなことを……」

その声と表情ですべてを悟る。唖然とした表情のあと、目元に涙がたまるのが見えた。
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