捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
当時も今も副社長である斎藤相馬氏、そして今はもうこの会社にはいない当時社長だった金子貞臣氏、しかし、どれも絶対的な理由にはならない。
「社長だった金子さんの今は?」
俺の言葉に、龍はしばらく調べているようだった。
「三年前に退職して、今は他のベンチャー企業に勤めているな。お前が社長に就任したと同時に辞めたよな」
「ああ。俺が株主総会で社長になった時、とても悔しそうだったのを覚えているが……。だからと言って情報を売っていたなら、ライバル会社にでも行ってそうだし、あの時の損失は社長としては痛手だろう。それを立て直した俺が社長に就任する決定打になったのだし」
俺の推察に龍も小さく頷く。
「確かに何のメリットも彼にはなかったな。だからこそ、お前の秘書が疑われた」
その言葉に俺も頭を巡らす。そうだ、どうして紗耶香をあれほど疑うことになったのか。
「密告だ」
ハッとした俺に、龍は俺の顔を見た。