捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「密告?」

「ああ、その調書にはないかもしれないが、俺があっさり信じた理由。怪メールが役員宛てに来たんだよ。紗耶香がネクストの社長と繋がっているって」
そうだ。確かに俺以外にも紗耶香にはネクストの社長と繋がっていて、愛人関係にあるという匿名のメールが来た。そのことを思い出していると、不意に社長室のドアがノックされる。腕時計を見るとちょうど一時間が過ぎていた。

「五年前だからその人物を特定できるとはわからないが、あの後怪しい動きをした人間や、得をした人間を洗い出してみる」

それだけを言うと、龍はパソコンをしまうと立ち上がった。

「頼む」
神妙な面持ちをしたのだろう。龍は足を止めると俺をマジマジと眺めた。

「お前の感情を出せるのは、昔も今も彼女なんだな」
クスリと珍しく笑みを浮かべると、龍は部屋を出て行った。
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