捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
急激に不安になり、俺はスマホを取り出した。
返事がないことを覚悟しつつ、紗耶香にメッセージを送る。
【今日は早く終わりそうだから、瑠偉は俺が実家に迎えに行ってくる】
ノーを言わせないように、言い逃げのような文面を送ると、和泉さんの部屋へと向かう。
「後の処理は家でやるから、和泉さんも帰って」
そう言うと、彼女は少し考えるような表情を浮かべた後ニコリと笑った。
「ありがとうございます。そうさせて頂きます」
「ああ、龍によろしく」
それだけを言うと、俺は会社を後にした。
会社の駐車場へと向かい、車に乗り込むと俺はチラリと視線をスマホに向ける。紗耶香から返事は届いていないようだった。
まだ紗耶香はきっと仕事をしているか、終わっていても電車に乗っているはずだ。
俺の方が早いだろう。瑠偉を立てにするようで申し訳ないが、今の俺にはそれぐらいしかできない。