捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「君以外はみんな常務に好意を持ちそうで仕事にならない」
その言葉に唖然としつつも、新入社員の私が文句を言えるわけもなくとりあえずの言葉を投げかける。

「でも、仕事になればそんなことはないのではないですか?」

「まあそうなんだけど、常務も常務だから……」
人事部長は少し言葉を濁しつつ、私から顔を背けた。その表情と言葉で常務のプライベートがどんなものか想像がついた。きっと秘書だろうが何だろうが軽くお付き合いをするタイプなのだろう。いかにも幼く、地味な私ならば常務の相手にはならないだろう。そんな思惑がすぐに読み取れた。

「そうなんですね」

「ああ、来るもの拒まずだから」
当たり障りのない返答をした私に、つい口がすべったのだろう。人事部長は慌てて口を押えるとゴホンと咳払いをする。聞かなかったことにしろとでも言わんばかりの視線に私も何も言わなかった。
私なら拒まれるって思っているって事よね。こっちから願い下げです。

その言葉をグッと飲み込むと、小さく息を吐く。
< 14 / 251 >

この作品をシェア

pagetop