捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「初めてだったんだよ。紗耶香を抱いて。あんな幸せな気持ちになったの」
急に夜を思い出すようなセリフに私の顔は一気に熱を帯びる。

「だから、どうしても紗耶香を手に入れたかった。それは今も変わってない。再会して、憎みたいのに愛しくて。あの頃は言葉にしなくてすれ違ったから、もう遠慮はしない。紗耶香好きだよ」

開き直ったような祥吾さんに、私は何も言えなくなる。本来の祥吾さんは太刀打ちできるような相手ではないのだ。

今の爆発的な愛の告白に私の心はバクバクとうるさい。
しかし、まだ信じるのは怖い。動揺していることを知られたくなくて、私は立ち上がってキッチンへと向かう。

「紗耶香?」

「ずっと話してたらのどか湧いたの。何か飲む?」
可能な限り気持ちを押し殺して言えば、祥吾さんから「水でいい」と聞こえた。

冷蔵庫を開け、確認するふりをしながらなんとか気持ちが落ち着くのを待つ。
これから、私はどこまで祥吾さんの攻撃を耐えられるか。すぐに陥落してしまうような気がしてため息が漏れた。


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