捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「紗耶香?」
確かに自分の名前で周りを見渡すと、そこには驚きつつも笑顔の結城さんがいた。

「あっ、結城さん! お久しぶりです」
私も昔の馴染みの顔につい笑みが零れた。あの時は自分のことで精一杯でとてもよくしてくれたのに挨拶もできていなかった。

「どうしたの? 今日は!」
結城さんも興奮したように私の手を握りしめようとして、ハッと隣の専務に気づいたようで口を閉じた。

「申し訳ありません」
すぐに私の上司だと気づいたのだろう。完璧な秘書の笑顔を浮かべた。

「いえ、お気になさらず。立花、時間までには戻れよ」
そう言うと、専務は一人で歩いて行ってしまった。

「大丈夫だったの?」
「はい」

私が答えれば、結城さんは隣にいた秘書課の後輩だろうか、二人の女性に声を掛ける。
「二人で食べてきてくれる? 紗耶香、ランチでしょ? 一緒に行こう」

私は頷くと、結城さんおすすめの和食屋さんへと向かった。
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