捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「あの日はあんまりゆっくり話せなかったし、紗耶香のプライベートも聞いてないしね」
クスリと昔のままの結城さんの笑顔に、私も気が緩む。入社したときから一から仕事を教えてくれた結城さんは今でも私の憧れの人だ。
「それで紗耶香、仕事は順調そうよね。結婚は? 彼氏は?」
「ええと」
祥吾さんとのことをどう話そうか思案していると、結城さんは私の態度から何かを思ったのか、ジッと私を見据える。
「その顔は恋してる顔ね」
「え!」
驚いて目を見開くと、結城さんはさらに私を観察するように見たあと言葉を続ける。
「今思い描いた人のことが、好きですって顔よ」
うそでしょ? そう思っていると、結城さんは「相手を当てましょうか?」と綺麗な顔をキラキラさせながら私に人差し指を向ける。
「ずばり、この間の上司でしょ! 紗耶香、昔よりすごくキレイになったもの」
「え? ちが……」
あさか専務が相手だと思うなんてと、私は否定しようとするも結城さんは楽しそうに妄想を膨らませているようだ。