捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「紗耶香?」
一気に心が冷たくなったような気がした。さっきとまるで違う私に気づいたのだろう。祥吾さんは靴を脱ぎながら私の顔を覗き込んだ。

ここで黙っているから私は常に不安で信じられないんだ。そう思うと私は顔を上げ祥吾さんのスーツに手をかける。

「え? 紗耶香?」
本当に私の行動の意味が解らないようで、慌てたような祥吾さんの声がするが、かまうことなく襟元に顔を寄せクンクンとする。

「女性の香水の匂いがする」
ぼそりと祥吾さんに言えば、「え?」と少し考えるように自分の匂いを嗅ぐ。

「ああ、これ今日、廊下でぶつかった女子社員のかな? すごい匂いの社員で。この香り苦手だなと思った覚えが」
本当に嫌そうに顔をしかめる祥吾さんをジッと見つめる。

「嘘はついてない?」
いつもの私と違うことに気づいたのだろう。それでも祥吾さんは私をジッと見つめると真面目な瞳を私に向ける。
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