捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「ついてない」

「じゃあ、会社で親密な女性はいない?」
そのいきなりの私の問いにも、祥吾さんは私から目を逸らすことなく口を開く。

「そんな女いない。俺は紗耶香が好きだって何度も言ってる」
そのセリフの真実を探る様に、私はジッと祥吾さんを見つめていた。

再会してからずっと、私と瑠偉に誠実だった。そんな祥吾さんに嘘はない。心からそう思えた。

「うん、信じる」
ふわりと笑えば、いきなりドサッという音がして、祥吾さんのカバンが床に落ちたのがわかった。それと同時にギュッと抱きしめられる驚くも、その手が少し震えている気がした。

「祥吾さん?」
意味が解らなくて問いかければ、呟くように声が聞こえた。

「信じるって言葉がこんなに嬉しいって思わなかった」
力いっぱい抱きしめられ、自分のことばかりでこんなにも祥吾さんを不安にさせていたことに気づく。

「ごめんね」
小さな私の声に、祥吾さんは私を抱きしめたまま首を振った。
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