捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「噂があれば誰も私のプライベートを知られないと思って。それにほとんど専務の秘書へのやっかみだよ」
言いながら私は祥吾さんの首に手をまわし彼を引き寄せる。
「ずっとこの腕を忘れられなかったのかもしれない。誰にもその気になれなかった。ようやく戻ってこれた気がする」
私の中で懐かしさと、初めて触れるようないろいろな感情が渦巻く。
「紗耶香」
感慨深げに私の名前を呼ぶ祥吾さんの声がうれしい。身体にしみわたっていく気がした。
ただずっと抱きしめているだけの祥吾さんに、私は自らギュッと回していた手に力を込める。
「さっきの続き……は?」
自らねだるように言うと、祥吾さんは驚いたような表情をしたあと私の大好きな笑顔を見せてくれる。
「あんまり煽るなよ。ただでさえ余裕ないのに」
そう言いながら、私の出産の時の傷を見つけいたわるように何度も触れる。