捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「そう、今日遅くなった理由」
腕枕をするように体勢を変えると、祥吾さんは口を開いた。
「副社長を子会社へと左遷した」
「やっぱり副社長だったの?」
私達をこんな風にした犯人だ。私も身を乗り出して祥吾さんの話に耳を傾ける。
「あの金の流れを突きつけたら、情報を売ったことを認めた」
「そう……」
私は小さく呟くと、あの頃屈託のない笑顔を向けてくれていた副社長の顔がよぎる。
「しかし、主犯は人事部長の長谷川だっていうんだ。でも、もう退社しているし、証拠もない。あの金も半分は長谷川に渡り、そのあと長谷川は海外みたいだ」
私の退社をあっさりと認めたあの長谷川部長を思い出す。最初から仕組まれていたのかと、私は小さくため息を付いた。いろいろなことが腑に落ちていく。
「だから色々なことがあっさりと進んだのか……でもどうして私だったんだろう」
「きっと紗耶香がまだ入社歴が浅い上に、俺の一番側にいたせいだと思う。俺を失脚させたかったんだろうな」
沈痛な面持ちで言った祥吾さんに、私は優しく微笑んだ。