捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

気持を伝える気など全くない。それに空気みたいな私が常務を思っているなど、まったく想像もしたことがないだろう。

それならば今の関係でいい。少しでも仕事で常務の役に立てるのならば。
気持ちを隠すために、仕事と一緒にポーカーフェイスも覚えた。

でも、どうしても出張は食事を一緒にしたり、いつもより近い距離にいる常務を意識してしまう。

これ以上好きになんてなりたくないのに。

女癖が悪く、一番好きになっても幸せになれない相手だとわかっていたのに、仕事に真摯に取り組む姿勢や、意外と優しい所。そのギャップにやられてしまった。

「どれだけ簡単なのよ。私」

自虐的な言葉を自分で言って虚しくなってしまう。不毛で一番好きになってはいけない人なのに。すっかり沸騰して味噌が飛んでしまったみそ汁をお椀によそう。

明日からの出張が楽しみな気持ちと、これ以上に色々な常務を見たくない。そんな入り混じった複雑な気持のまま、私は今日一日を終えた。

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