捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
北海道から戻ってから、何もなかったように、いや、もはやそういう関係と認識されたのだろう。遊ぶ女性がいない日は私に声をかけるようになり数カ月が経つ。

「おつかれさまです」
終業時間になり私は帰り支度を終え、常務室を後にしようとしていた。

「紗耶香、この後空いてる?」
後ろから聞こえたその言葉にドキッとして、私は足を止めた。


「今日は……」

「なんだよ、こないだも用事とか言ってなかったか?」
用事などもちろんないが、なんとなく断る日が続いていた私に、常務は不満げな声が聞こえる。
ここ数カ月、金曜日は食事をしてホテルに行くということが続いた。

しかし甘い雰囲気は抱き合っているときだけで、朝を一緒に向かえたことはない。
私だけ泊って行けばいいと言われるのを断り、冷え切った気持ちで家に帰る。それが少し耐えられなかった。すぐに帰り支度をする背中を見るのは辛すぎた。
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