捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「ん……もう少しだけ」

何か温かく触れる感触に、私は寝ぼけながら寝返りを打とうと体勢を変える。

「お腹減った」
不意に後ろから聞こえたいつもより掠れた声に、私はびくりと肩を揺らした。
温かいと感じたのは私の頬や髪を撫でまわしていた常務の手だと気づき、どうしていいかわからなくなる。そのまま振り返ることもできず固まってしまう。

「紗耶香」

そんな私をコロリとすると、上から縫い留められはっきりと常務と目を合わすしかなくなった。

「おはよう」
面白そうにからかうように言われ、私も悔しくてジッと見つめて「おはようございます」と口にする。

「こうしたかったってことだよな?」
昨夜のセリフを確認するように言われ、私はどう答えていいかわからずギュと唇をかみしめる。
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