捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「ありがとうございます」
素直に言葉にした私に、常務はクスリと笑みを漏らすと「冷めるぞ」そう言うと自分もフォークを手にする。
用意されていた食事はどれも美味しく、クロワッサンも焼き立てで芳醇なバターの香りがした。
「とってもおいしいです」
サラダもオムレツも美味しくいただくと私は、コーヒーに手を伸ばす。
「まあ、夕飯も食べずに、あれだけ激しい運動すれば腹も減るよな」
その言葉に私はむせそうになり慌てて、手で口を押える。
「なんてことを……」
恥ずかしげもなく言われ、私は昨夜のことが頭をよぎって恥ずかしくなってしまう。
「昨日は時間があると思ったら、歯止めがきかなかったんだよな」
更に言われた言葉に、私はもはや限界で慌てて声を上げる。
「もういいですから。常務も早く召し上がってください」
そんな私に、常務は手を止めるとジッと見据える。
「だから、いい加減に常務って呼び方と、その言葉遣いはやめろよ」
「でも……」
偵察のときは仕方なかったが、その後は何度言われても″祥吾さん“とは読んでいない。常務と呼ぶことでどこか自分の中で区切りをつけていた。しかし、それがなくなってしまえば、もっと私は欲張りになってしまいそうだった。