捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

私だけを見て。そんな欲求がいまでもあるのに。そう思うも、常務はそれを許さないと言わんばかりに私を見続ける。
「ほら」
再度催促され、もう逃げられないと私は覚悟を決める。

「祥吾さん、早く食べてください」
私はどんな表情でその名前を呼んだのか自分でもわからなかった。
羞恥なのか、諦めなのか、気持ちが加速したのか。

そんな私の気持ちなど何も知らないだろう。祥吾さんは満足げな表情で私を見たままパンを口に運んだ。
何この空間……。

まるで幸せな朝そのものに、戸惑いを隠せなかった。
< 49 / 251 >

この作品をシェア

pagetop