捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「どこの部署でしょうか?」

「資料室よ。紗耶香何かしたの?」

全く身に覚えもないが、私がしてしまったことといえば常務と関係を持ったことぐらいだ。
それを誰かに知られた?
そうは思うも、こんなことになっても祥吾さんが私を守ってくれることなく、連絡もくれなかったことがすべてなのかもしれない。

私はもう用済みということだ。あの優しさも、甘さもすべてただのゲームに過ぎなかったのだろう。
わかっていたのに……。自嘲気味な笑みが零れ落ちるも、なんの感情も湧かなかった。

ただ、私は捨てられた。そのことがストンと心に落ちた。

「紗耶香、きちんと理由を聞きに行こう」
結城さんの言葉に、私は小さく首を振る。何かどこかで誤解や誤りがあったとしても、ずっとここにはいられないと思っていた。

「いいです。引継ぎは誰に?」
「ああ、緑山さんに……」

ベテランの緑山さんなら、安心して仕事を任せられるだろう。北海道の店舗のオープンも見届けたかったが、どうせ私には時間がない。
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