捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「いえ、ちょうど情報漏洩という噂が出たときかもしれません」
妊娠や、祥吾さんの婚約でそれどころではなくなってしまっていたが、ひょっとしたら色々大変なことがあったのかもしれない。
だからと言って、連絡の一つぐらいできただろうし、もう私には関係のないことだ。
そう思いなおすと、私は資料を確認する。
「しかし、すぐに業績は回復し、今は業界でもかなり大手の部類でしょう」
その言葉に専務も小さく頷き、資料をめくる。
「取引相手として問題なさそうだな」
何枚もある資料に目を通し終わると、専務はチラリと私に視線を向ける。
「きつくなったらいつでも言えよ」
「ありがとうございます」
専務の優しさが嬉しくて、頭を下げた。
「打ち合わせのアポを向こうの秘書と取ってくれ」
「わかりました」
祥吾さんの隣にいた綺麗な女性を思い出し、私はアドレス帳からその名前を探す。
″代表取締役社長 秘書 和泉 佐知“
結婚をした今でも、愛人だの遊びの相手がいるのだろうか。そんなことを思いつつ、私は受話器を手にした。