捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「なっ」
つい声が出た私を、確かにさっき会議室を後にしていたはずの祥吾さんが見下ろしていた。
じっと久しぶりに見つめ合う形になり、私はギュと胸が苦しくなる。あの時の辛さや苦しさが一気に蘇る。
ただ、表情を歪め何かを考えるように私を見ている祥吾さんが、何を考えているのか計り知れない。
ただ、久しぶりにみるそのブラウンの瞳を見て、何とも言えない気持ちになる。

「何か不明点がありましたか?」
もちろん秘書としての私に用事があるのだろうと、私は平静を装いながら視線を背けると、いきなりバンと机を叩かれる。大きな音とその行動に訳が分からなくて、咄嗟に祥吾さんを見上げた。

見上げた祥吾さんはなぜか不敵な笑みを浮かべていて、その表情にゾクリと背筋が粟立つ。

「んっ」
そう思うと同時に、いきなり激しく唇を塞がれる。
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