捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「大丈夫か?」
静かにポンと瑠偉の頭に触れると、瑠偉は目の前の祥吾さんを仰ぎ見る。
「うん、ありがとうございます」
まだすべての語句を完璧に話すことのできない瑠偉だが、にこりと笑うと祥吾さんにお礼を伝える。
その時、祥吾さんの目が思いっきり見開かれるのがわかった。
バレた。
直感的に祥吾さんの様子にそう感じると、私は慌てて瑠偉のもとに走るり瑠偉を抱き上げる。
「申し訳ありませんでした」
それだけを言うと、私はくるりと踵を返して元来た道を走り出す。
「ママ、おさんぽは?」
不服そうに口にする瑠偉だったが、私はそれどころではない。
どうしよう。それだけが頭をよぎる。
「紗耶香待て」
はっきりと怒気の含んだその声に、私は瑠偉をぎゅっと抱きしめながら足を止めた。