捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
このまま逃げていいわけはないし、祥吾さんならどんなことをしても話をしに来るだろう。
後ろから感じる気配で、祥吾さんが近づいてくるのがわかる。ザラリとした砂をぶちまけたような気持ちが広がり、次に何を言われるか怖くて仕方がない。

祥吾さんもしばらく何も言わず、沈黙が流れる。それを破ったのは瑠偉だった。

「ママどうしたの?」
きょとんとする瑠偉に、私はなんとか笑顔を張り付けると言葉を発する。

「瑠偉、おじいちゃんのところに帰っていてくれる? ママこのお兄さんと少しお話があるの」

「うん」
瑠偉はまだ何もわかるわけもなく、何も言うことなく受け入れてくれる。そして私は祥吾さんを見ることなく口を開く。

「子供を家に預けてきます。少し待っていてもらえますか」
なんとか冷静に言った私だったが、いきなり目の前から瑠偉がいなくなる。

「瑠偉!」
驚いて振り返ると、祥吾さんの腕に抱かれた瑠偉が目に入った。
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