捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「ちょっ」
そう声を上げたとたん、蕩けるような微笑みで私の腕を祥吾さんは引き寄せると、父には聞こえないくらいの声で、耳元で囁く。

「瑠偉の親権を奪われたくなければ言うとおりにしろ」
完全に脅迫まがいの言葉に、私はぞくりと背筋が凍るかと思った。
どうしてここまで怒りをあらわにしているのか理解できない。泣きたくなる気持ちを抑えながら私は祥吾さんを見上げる。

「紗耶香さんとは完全にいろいろなすれ違いがありまして、再会していろいろ話をしてそのわだかまりも解けました」
祥吾さんの言葉に父は、私を見ると静かに声をかける。
「そうなのか、紗耶香」
私に密着したままの祥吾さんは、きゅっと私の手を握り締める。それは仲良く見せるためなんかではなく「わかっているよな」そういわれた気がした。
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