嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 クラシカルな雰囲気の客間のソファの上でようやく美琴は解放された。かと思ったら、すぐに隣に礼が腰を下ろした。

「見せてみろ」

 礼はやや強引に美琴の足をつかむと、丸代が持ってきてくれた救急箱から消毒液を取り出した。

「あの、自分で! 自分でできますから」
「遠慮する必要はない」

(いや、遠慮じゃなくて~。知らない男の人に足を見られるなんて恥ずかしい。おまけにそれが、あの御堂礼さんだなんて!)

 美琴の心の叫びをまるっと無視して、礼はてきぱきと手当てを終えた。

「まぁ、跡が残るようなものではないだろう」
「……ありがとうございます」

 望んだわけではないが、丁寧に手当てをしてもらった以上はお礼を言うしかないだろう。やや複雑な心境で美琴はぺこりと頭を下げた。

「頼んでないって顔だな」

 弾かれたように美琴が顔をあげると、礼はふっと微笑んだ。

「図星だな」
「礼さんに手当てをしていただくなんて恐れ多いですから」
「なぜだ? 茶道は一流だが、手当ては素人だぞ。恐れ多いなんてことはない」

 わかるような、わからないような不思議な理屈だ。
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