嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 夢を見た。好みのタイプど真ん中、理想をつめこんだような素敵な人に愛をささやかれる甘〜い夢だ。

(はぁ。現実では無理だからって夢に見るなんて……ヤバすぎて笑えないなー)

 重い瞼をゆっくりと開けると、柔らかな日差しがキラキラと輝いて見えた。美琴はゆっくりと身体を起こす。

「それにしても、いい夢だったなぁ」
「どんな夢を見たんだ?」

 ひとり言に返事があった。一瞬、勝司が勝手に部屋に入ってきているのかと美琴は思った。でも違う、顔も声も。

「み、御堂さん!」

 朝から一点の曇りもなく美しい彼の顔を見て、美琴はすべてを思い出した。

「礼でいいと言ったろ」

 夢ではなかった。あれは昨夜、現実に起こったことだったのだ。

「で、なんの夢だったんだ?」

 すっかり朝の支度を終えたらしい礼は二藍色の着物姿だった。気品があって神秘的なその色は彼の魅力をより引き立てている。

(あなたに抱かれる夢でした。なんて口が裂けても言えない!)

 礼は美琴のそばまで来ると、すとんと隣に腰をおろした。

「身体は大丈夫か」
「えっと、はい。腰も足もちょっとダルいけど、動けないほどではないです」

 美琴の答えに、礼はほんの少し眉をひそめた。

「……君は本当に正直だな。不調を訴えられたら、次のタイミングをはかりかねるじゃないか」
 
 
< 34 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop