嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「騙されたな。本当は君が振り返ってくれたら、キスするつもりだった」
「ずる……」

 ずるい。そう言おうとしたのに、最後まで言わせてもらえなかった。美琴の唇は礼に強引に奪われた。フレンチトーストの甘い香りのするキスは朝から刺激的すぎて、とても正気を保っていられない。

「礼さん、ダメです」
「もう少しだけ」

 息つく間をないほどに、礼は何度も唇を重ねてくる。頭の芯がしびれて、身体から力が抜けていく。ようやく解放されたときには、美琴はぐったりとしていた。

「ところで、式はどうしようか?」

 ぼんやりとした頭で、礼のこの言葉が理解できるはずもなかった。美琴ははて?と首をかしげた。

「式? なにかの式典があるんですか」

 御堂家はイベントごとの多い家だ。なにかあるのかもしれない。しかし、礼は呆れたように眉根を寄せた。

「他人事じゃないぞ。俺と君の挙式の話だ」
「は?」
「今日、京都に行くのも両親に君のことを話しておきたいからだ」
「な、な、なにを仰っているのやら」

 礼の発言には驚かされてばかりだが、今回はあの交換条件と同じかそれ以上のインパクトがあった。

「念のため聞きますけど、挙式って一般的には結婚式のことですよね? それとも私の知らない別の意味が?」

 挙式という単語を今すぐ辞書で調べたい。
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