嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 だからその言葉を聞いたときは、思わず変な声が出てしまった。

「おめでとうございます、ご懐妊ですよ」

 医師のお墨つきをもらって、ようやく理解しようと頭が働きはじめた。美琴は自身のお腹に視線を落とす。

(ここに、赤ちゃんが? ほ、本当に?)

「ど、どうしよう。礼さん。なんか全然信じられなくて」

 助けを求めるように礼を見る。

「俺も……正直戸惑ってるが、とにかく君は身体を大事にしろ。栄養のあるものを食べて、温かくして」

 焦りまくるふたりを見て、丸代がクスクスと笑う。

「礼さん。そんなに心配なさらずとも、普通に過ごしていればいいんですよ。先は長いですからね。ふたりとも落ち着いてリラックスですよ」

 美琴の目には、三人の子の母である丸代がとんでもなく偉大で頼もしく見えた。

「ま、丸さん! 頼りにしてます」
「ふふふ。任せてちょうだい」

 礼も丸代に改めて頭を下げた。

「丸。俺からも美琴とお腹の子をよろしく頼む」

 夜になってふたりきりになると、礼は嬉しそうに何度も美琴のお腹を撫でた。

「子が欲しいのはただの義務感だと思っていたが、実際にできるとこんなにも嬉しいものなのだな」

 
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