嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 まだ膨らんでもいないお腹を前にして、礼はすでにデレデレだった。過保護なパパになる彼が容易に想像できる。

「私はまだ全然実感がわかなくて、すごく不思議な感じです。自分のなかにもうひとりの人間が存在してるだなんて……」

 一方、美琴はまだ嬉しいという感情にはたどり着けていなかった。そのもっと手前で、ただただ驚いているという感じだ。
 礼はお腹を撫でていたのと同じ優しさで、今度は美琴の頬を撫でた。

「こんなに幸せだと感じたのは生まれて初めてだ。君とお腹の子を、どうか俺に守らせてくれ」

 美琴は黙ってこくりとうなずいた。

(礼さんと私の赤ちゃん。私、本当に妊娠したんだ……)


 礼は日を追うごとに、美琴とお腹の子に甘々になっていく。そんな礼が美琴には愛おしくてたまらない。

「少し膨らんできたんじゃないか。もう四ヶ月になるだろ」

 じっとお腹を見つめていた礼が嬉しそうに言った。

「たしかに。でも、食べすぎによる脂肪の可能性もあるかも」

 美琴は食べづわりで、普通の妊婦さんなら痩せていくこの時期にどんどん体重が増加していた。

「あんまり太り過ぎるのもよくないって言うし、気をつけないとなぁ」

 とはいえ、なにか食べていないと気持ち悪くて仕方ないのだ。話には聞いていたけれど、やっぱり妊婦って大変だ。
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