寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「大丈夫です。生け花と同じように習って頂きますので、ご安心を。」

「はあ……」

だんだん、難しくなってきた。

三つめは、果たしてどんな物が来るのかしら。

「そして、最後三つめは……」

「三つめはっ!」

私は手を握りしめて、徳次郎さんを真剣に見つめた。

「……お子様を産む事です。」

「子供……」

「そうですね。坊ちゃまは結婚しないと仰っているので、なるべく男子をお願い致しますよ。」

私は、何とも言えなかった。

だって子供は、欲しいって言ってできるものじゃないもの。

「こればかりは、習う事ができませんので、直接坊ちゃまから手ほどきを受けて下さい。」

「はい。」

「では、宜しくお願い致します。」

でも、徳次郎さんは私がただのお飾りだって、知っているのかしら。

「あの、徳次郎さん。」

徳次郎さんは、部屋を出て行こうとして、止まってくれた。

「私の事は、保さんから何と言われてますか?」

「妾になって貰うと、それだけでございます。」
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