寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
思い出す。

保さんとの出会った時。

私は馬車に轢かれそうになって、保さんに助けられたんだ。


あの時は、みすぼらしい着物を着ていたけれど、今は立派なドレスを着ている。


「ん?」

「ううん。」

そしてあの時、外を眺めて、こっちを見ようとしてくれなかった保さんは、今は私だけを見つめてくれている。

幸せって、こういうモノを言うんだと、今、知った。


やがて馬車は、屋敷の前に到着した。

屋敷の前には、徳次郎さんとちよさんがいて、私達の到着を今か今かと、待っていてくれた。

「坊ちゃま。早く広場に。」

「分かっている。」

すると徳次郎さんは、何かの箱を保さんに渡した。

「お母上様からの、お預かり物です。」

保さんはその箱を開けると、うんと頷いた。

「小花、行くぞ。」

「はい。」

しっかりと私の手を握って、保さんは私と一緒に、広場のドアの前にやってきた。
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