寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「私がいると、保さん、不幸になるの。」

母は、何も言わずに、私を見つめていた。

「だから、屋敷を出て、一人で暮らすね。保さんがここを訪れても、私の事は知らないと言って。」

その時、母の手が私の頬に触れた。

「本当にそれでいいの?」

「うん。」


あの日。

保さんに拾って貰った日。

私の人生は、一変した。


誰かをこんなに恋しいと思う人生が、私に訪れるなんて、思わなかった。


「じゃあ、私、行くね。またね。」

病室を出て、私は階段を降りた。

今にも、ふと保さんが来るような気がして、ならなかった。

馬鹿だね。

自分から屋敷を出たのに。


病院を出ると、私は歩いて、前に住んでいた場所に向かった。

おそらく、まだ他人の手には、渡っていないはず。

その予感は的中した。

前の家は、あの日お母さんを病院に運んだ時のままになっていた。
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