愛され王女は王の道をゆく
 実際、あの甘すぎる兄たちから教養を施されたことにより、本来、王女が学ぶ必要のない分野を含め、アナスタシアは多くの知識を一通り叩き込まれている。

 しかし、専門の教師を付けた訳でもなく、傍から見れば、分からないところを教えてもらっているようにしか見えない。

 アナスタシア自身も重々承知しているが、彼女の評価は『性格は優しく、見た目も麗しく、賢くて気遣いのできる少女』である。

 その“賢くて”とはあくまで、王女にしては賢い(・・・・・・・・)というだけであって、まさか帝王学などを完全にマスターしているとは、貴族たちは思いもしなかったのである。


「なら、暗殺者(お客さん)が増える前に、出迎える人員を、ある程度揃えておかなくてはね」

「それが懸命かと。姉上は《円卓の騎士》の第一席の候補などは、既に絞っておられるのですか?」

「いいえ。私は政に関わろうと思っていたわけではなかったから、騎士たちの情報には乏しいのよ。
 今、必死に集めてるところ。まぁ、一人目は難航しそうね。
 私に合わせられる騎士なんているのかしら?」

「さてどうでしょう……第一席ともなれば、さすがに王国最強とはいかずとも、それに匹敵するだけの腕はないと困りますねぇ」
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