愛され王女は王の道をゆく
 騎士とは言うが、それなりの腕がたてば、参謀として席に加える事は出来る。

 それは、歴代の王もしていたことであるため、何も問題はない。

 まともな貴族の息子とかなら、数に数えることも出来るはずだ。

 しかし、第一席だけは違う。別格なのだ。

 王の騎士《円卓の騎士》をまとめ、王を支える右腕。
 そして、良き相談相手になりうる存在。
 つまり、王と同等の教養とマナーを備え、いざとなれば、盾になれるだけの腕も必要ということだ。

 腕っぷしが一番強い者を据えられないのは、そういう理由だ。


「それなりに賢くて、私と剣の鍛錬が出来るくらい強い騎士だと満点なんだけど、誰か候補はいる?」

「まぁ、手加減すれば……ってところですかね。
 将来的にそこそこ本気で、姉上の相手が出来るくらいの素質がある者なら、幾人か心当たりがありますよ」

「そう、ならピックアップしておいて頂戴」


 などと、アナスタシアは言うが、侍女たちは首を傾げている。

 今しがた、アナスタシアはこう言ったのだ――私と剣の鍛錬が出来るくらい強い騎士なんかいるの?

 誤解されかねない表現であるが、侍女たちは勝手に、アナスタシアに合わせて、最適なレベルで手加減することが出来る、腕のある騎士と納得した――それが、単なる誤解であるとも知らずに……
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