愛され王女は王の道をゆく
「見習い?
 どう見ても、隊長クラスの実力はあるように見えるけども?」


 レオナルド曰く、彼の場合、同年代のライバルに恵まれなかったのだと言う。

 要は、高い志を持って騎士団に入団したものの、周りの騎士が雑魚過ぎて、肩透かしを食らってしまった――みたいな感じだ

 雑魚なんて言うが、これでも王都にいる騎士見習いは、王立の騎士養成学校を好成績で卒業した猛者たちである。

 レオナルドが特別優秀なのであって、決して彼らのレベルが低いわけではない。


「雑魚って貴方ね……まぁ、いいわ。
 なんとかして、さり気なく彼の実力は見てみたいわね」

「もう決めてしまうんですか?
 他にも騎士はいますけど?」


 レオナルドの言う通り、アナスタシアはグルっと一周、訓練場を回っただけだ。

 幾ら、早急に第一席を決める必要があるとは言え、一生を共にする相手である。

 その短期間で決めてしまって良いのかという疑問は、至極当然のものであった。


「レオが周りは雑魚だって言ったんでしょう?
 第一席の騎士に関しては、どうしても剣術の実力がある程度は必要なんだから、候補に入るわけ無いじゃない。
 他は第一席が決まったら、また見に来るわ」


 そう言って、アナスタシアは騎士団を後にした。
< 13 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop