愛され王女は王の道をゆく
 次期国王の護衛として、申し分ない。しかし――


「あら、ありがとう。でも、シスコンもほどほどにしておいた方がいいわよ?」

「はは、手厳しい。ですが、大丈夫ですよ。
 私のこれがシスコンなら、腹違いで、別の派閥の旗頭になっている兄上たちは、救いようもない重度のシスコンですから」


 どうにも姉離れが出来ない、甘えたがりな弟であった。

 そんなレオナルドに言われて、アナスタシアは二人の兄を思い出す。

 先日まで王位継承候補の二大巨頭とされていた、第二王妃の息子、第二王子アルフレッド・ウォン・クウォールと、第三王妃の息子、第三王子エドワード・レイ・クウォールだ。

 ちなみに、第一王妃の息子、第一王子エドガー・リー・クウォールは、遠の昔に継承権を放棄。今は世界中を旅する学者として活躍しているのだとか。

 たまにしか帰国をしないため、城で暮らしている異母兄弟全員が、第一王子の近況をあまり把握していない。

 唯一、国王陛下だけは知っているそうだが、アナスタシアにとっては、年も離れているため、兄というより親戚の叔父さんに近い存在であった。
< 8 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop