朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
_____那津さん。
その背中に呼びかけようとしたのに、彼は言葉を容赦なく重ねた。
「こいつが、なんの理由もなく
担当者に失礼な態度取る人間だと思ってんのか。
何か傷付けられたのかもしれないって、なんで思わない?」
嗚呼、ダメだ。
涙腺がもう、馬鹿みたいに緩み切ってしまった。
目から落ちた雫は、ぼたぼたと自分の頬を伝って、淡いグリーンのジャケットとセンタープレスのパンツのお気に入りのセットアップに流れていく。
勝負したい日のためにお財布を痛めて買ったそれらに悲しい染みが増えていくのをただ感じながらも、やっぱり喉からは、音が出ない。
「…クソだな。結局いつもそうだ。
俺が見て見ぬふりしてきただけだ。」
微かな乾いた笑みと共に何かを確かめるように告げた彼は、もうきっと、言葉を止める気が無い。
「な、つさん、」
「"那津“が作るデザインだから、選ばれるのか。
そうやって保険かけて、ずっとぬるい世界で、
体裁気にして、ぬるいもん作ってろ。」
とても冷静な声だ。
そんな声と対照的な言葉だからこそ、
静かに、確かな怒りを感じた。
那津さん、だめです、それ以上は、
縋るように背中に伸ばした手に気付いた男は、厳しい顔つきと裏腹に、優しく私の手を取った。
「__俺は二度とお前らに、俺の名前は貸さない。」
そう課長に吐き捨てたのと、その場を連れ出す力強い引力を感じたのは、殆ど同時だった。