朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
会社に行かないのだから、
早起きする必要も特に無い。
でも怖い。
朝が来ることも、朝を見過ごすことも、両方怖い。
キュ、とスマホを握りしめて胸に抱いた。
こうして朝が過ぎていくのをひたすらに待つ時間はとても過酷だから何か他のことを考えようとすれば、自ずとあの人を思い出す自分が居る。
那津さんは、ちゃんと起きてるだろうか。
あのroom2で、無茶な働き方、してないかな。
ちゃんと、朝ごはんは食べてますか。
問いかけは布団の暗い景色の中に沈む。
連絡なんか、出来ない。
あの日、「すみませんでした」と謝罪をメールで送ったけど那津さんから返信は無かった。
彼だって、これ以上巻き込まれたくないって思うのは当然だし、もう迷惑はかけられない。
___なのにどうしてこんなに胸が、年季の入ってきたこの安いベッドみたいに、キシキシと音を立てて痛むのだろう。
目を強く瞑った瞬間、掌の中のスマホが再び震えた。
「……え、」
今度はアラームじゃなくて着信音で、その主は私が今の今まで考えてしまっていた人物からだった。
「も、しもし…?」
"青砥。今どこにいる。"
「部屋の、ベッド、です。」
緊張と動揺から、正直に答えてしまって、仕事にも行かずだらしないと思われたかなと瞬間的に不安を抱いた。
それなのに那津さんはただ、クスリと笑って「そう」と確かめるように呟いて。
"ねぼすけ、ちょっと部屋出てこい。"
その一言を、脈略なく発した。