朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
「那津さん。」
パジャマはまずいと急いで着替えて、大きめのストールを羽織って近くのコンビニへ向かった。
以前、会議室での朝の時間で、「お互いの最寄駅ではどこのご飯屋さんが美味しいのか」と話をしたことがある。
"流石にお前の家は知らないから、駅前集合な"と困ったように言われて、走って辿り着いたら、入り口付近には、会社に行かなくなっても何度も思い出した男が居た。
「……」
そして私を視界に捕らえた瞬間、スマホをポケットにしまいつつ、何故だか不機嫌に顔を顰めて近づいてくる。
「…え、顔怖い。」
「お前、ちゃんと食べてないだろ。」
「……、それなりには食べてます。」
急な指摘に、上手い切り返しを用意できていなかった。
不自然に視線を外しつつ伝えたら、また舌打ちを受ける。
「体調不良そのものみたいな青白い顔で嘘つくな。
ご飯は大事ってお前が俺に言ったんだろうが。」
「…那津さん、」
どうしてここに居るんですか。
そう尋ねようとしたのに「行くぞ」と、彼はスタスタと歩いて行ってしまう。
「ど、どこにですか?」
「お前言ってただろ。
近くに美味しいパン屋あるって。」
「……言いました、けど。」
あの部屋での会話をこの男も思ったより覚えているのだと驚きの中で返事をしたら、振り返って「案内して」と子供みたいに笑う。
「那津さん。」
「何。」
____会いたかったです。
そう言ったらどんな顔するのか、
知りたいようで知りたくない。
「カレーパンがめちゃくちゃ美味しいです。」
「うん、だから早く案内しろ。腹減った。」
本音は心で留めてそう伝えたら、長い脚で歩くスピードが更に増して、それに笑いながら背中を追いかけた。