朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
「那津さんの作品の中で、
"1番好き"が変わりました。」
「ん?」
私の言葉が純粋に理解できなかったのか、男は腕の力を少し緩めて、不思議議そうに私を近い距離のまま覗き込む。
ずっと握っていたスマホの画面を見せたら、
一瞬とてもおどろいた表情になって。
それからすぐ顔を歪めて、何か察したように舌打ちを漏らす、という一連の流れを見守った。
「あの夫婦、まじでなんなんだよ。」
「…これが1番に、なりました。」
「……」
「私、那津さんのデザインだけじゃなくて、
言葉も全部、ファンだったんですね。」
笑って「素敵な言葉を、ありがとうございます」と言いたかったのに、壊れて制御の効かない涙腺は、また涙を沢山連れてくる。
「お前やっぱり、見る目あるな。」
「…偉そう。」
「…雇用関係はこれでおっけーな。
これからは遠慮せず馬車馬のように働かせるわ。
よろしくアカプラ。」
「鬼じゃん。」
「こんな優しい上司いるか。」
本当に、そうだね。
こんなに優しくて愛しい人を知らない。
多分これから、知ることも無い。
そう思ったらふと笑えて。
私の表情の緩みを見ていた男は、ぐい、と大きな両手で私の頬を包んで強制的に上を向かせてくる。
不意打ちの行動に、当然のように
面白いくらいに顔に熱が一気に集まってしまった。
そして至近距離でぶつかった視線の先の双眸は、
その様子を観察して、嬉しそうに細まった。