花を愛でる。
明らかに高級な海外のセレクトショップが立ち並ぶ地に足を下ろした私。高級そうな街並みに圧巻されている私を尻目に、社長も車から降りると目の間にある店のエントランスを潜った。
「いらっしゃいませ、向坂様。お待ちしておりました」
「時間遅れてごめん。この間話してた子連れてきたからいい感じにお願いしてもいい?」
「お任せください」
店の店員と思われる男性と話していた彼は「それじゃあよろしく」と隣に立っていた私の背中を強く前に推した。
「社長!?」
「じゃあ花、思う存分綺麗にしておいで」
「な、何を言って……」
振り返った時には社長は別のスタッフの案内を受け、私の傍から離れていった。
そうこうしている間に女性スタッフに囲まれ、有無を言わさず別室に連れていかれる。気が付けばヘアサロンのような場所に着き、大きなミラーの前に立たされた。
綺麗にしておいでって、
「(ここでパーティーの為に身なりを整えろってこと?)」
しかしこれはやりすぎなのでは、そんな文句をぶつけたかったが他人の手によって眼鏡を外された瞬間に視界がぼやけ、大人しく口を結ぶことしか出来なかった。