花を愛でる。



「あす……向坂さん」

「アイツの傍から離れて油売ってていいの?」

「……今は前会長と席を外しているので」


私を挟んで会話を交わす二人。その様子から見て社長と黛さんは知り合いなのだろう。
彼に名刺を奪われる前に一瞬見えた黛さんの役職。

“黛グループ会長秘書”

こんなに若い人が日本でも有数の大財閥代表の右腕。


「俺は直接会わないだろうけど『おめでとう』とだけアイツに伝えておいてくれる?あと『調子に乗らないように』って」

「それは俺が支えるので大丈夫です」

「ふーん、立派になったねえ。けど、今こうして俺に秘書にちょっかい掛けようとしていたのは見過ごせないな」


そう言って腰を引き寄せられ身動きが取れなくなった。今すぐにでもこの険悪なムードから抜け出したかったのに。
険しそうな表情を浮かべる黛さんはスマホの着信音に我に返ると「すみません」と詫びを入れて着信に出た。


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