花を愛でる。
しかし何故かそのことに彼女は機嫌を損ねてしまったのか、むっと眉をひそめた。
「正しくは一週間後に22歳になる、ですけど」
「そうだっけ? 忘れちゃった」
「……そのことで遊馬さんにお話が」
「……」
彼女がしたい話の内容を察してか、社長が会話から一線を引いた。
「ごめん、今から仕事なんだ。話があるなら家の方に連絡を入れてほしい。誰かしら話を聞くと思うから」
「で、でも……」
「悪いな」
変わらず重苦しい空気が広がる中、彼は早乙女さんが部屋を出ていこうとするのを待つ。
しかしその場から動かない早乙女さんを見兼ね、社長ははあと深く溜息を吐く。
「出ていかないなら俺が出ていく」
「え、」
踵を返し、部屋を出て行ってしまう社長に呆気に取られる私と早乙女さん。
彼の姿が見えなくなり、閉まる扉の音で我に返ると彼を追いかけるように社長室を飛び出した。
「社長! 待ってください!」
廊下を進んでいく背中を追いかけ、そう呼び掛けると彼が脚を止めて振り返った。
「田崎さん? どうしたの?」
「どうしたのって、大丈夫なんですか? 彼女のこと……」
「彼女って、あぁ……」
そう呟いて社長室に目を向ける彼の視線はじっと一点を見つめている。まるで興味を失ったかのように、彼の瞳は暗いままだった。
今はどうしてだか、その彼の態度が癪に障った。