花を愛でる。
「彼は確かに次男ではありますが、だからと言って二番手ではありません。彼は彼なりに、グループの役に立とうと、グループを背負おうとしています」
「……ほう、だがそれは実際に現当主のアイツの父親に聞いた話か? それともアイツの優秀な兄に聞いたのか?」
「いえ、彼の秘書である私の独断です」
そう言い切ると彼は更に興味深そうな表情で私を見つめた。
「私は彼の秘書になってまだ短いですが彼の仕事を誰よりも近くで見てきました。社員の小さなミスにも責任を持ち、会社の為に頭を下げる彼のことを見てきました。そんな彼のことを、私は貴方に負けているとは思わない」
声、震えないでほしい。もう少しだから。
確かに私は社長の駄目なところも沢山知っている。女癖悪いし適当で、仕事の合間も冗談ばかり口にして。
だけど彼が仕事で手を抜いたところなんて一度も見たことはない。それどころか、社員のミスによる信頼を取引先を飛び回って回復した姿を見てきた。
負けてなんか、ない。
「撤回してください。社長は逃げてなんかいません。貴方の物差しなんかで測らないで」
「……」
シンと空間は静まり返り沈黙が広がる。私の言葉を受けて腹を立てているのか、黛会長が微かに震えているのが見えた。
どんな罵声を浴びせられても絶対に引かない。私は間違ったことは口にしていない。