花を愛でる。
と、
「く、くくくっ……」
「……え」
「くくく、くははははは!!」
突然笑い出した黛会長に目を丸くする。ひとしきり笑うと彼は「面白い」と自分の前髪を掻き上げた。
「撤回しよう、普通の女と言ったな。俺に歯向かうとは、面白いじゃないか」
「いや、そっちの撤回ではなく」
「そういえば遊馬の野郎は気の強い女が昔から好きだった。俺は従順な女が好みだったから全くその趣味には賛同出来なかったが」
「はあ……?」
何故女性の趣味の話になっているんだろうか。彼の会話の脈略に思考が付いていけずに取り残されていると彼はふっと不適に微笑み、私のことを指差した。
「決めた、田崎花。お前は明日からこの黛グループに入れ」
「は?」
「俺の秘書になる資格をやる。どうだ、嬉しいだろう?」
突如彼から言い渡された「俺に秘書になれ」発言に戸惑いを感じているのは私だけではないようで……
「ちょっと、兄さん!?」
「安心しろ、弟よ。勿論お前が俺の秘書でいたい気持ちも分かる。だからなんだ、俺の秘書であるお前の秘書、つまり秘書補佐的な……」
「そんな役職ないですよ」
黛さんの取り乱した様子を見て我に返った私は彼同様にその発言を否定する。
「何を言い出すかと思えば、私は彼の秘書を辞める気もなければ貴方の秘書になる気もないです」
「俺のところに来れば遊馬に付くよりもより秘書としての実力や経験も身に付くだろう。何せ今俺は日本のトップに立っていると言っても過言ではないからな」
「ですが私が求めているのはそういうことではなく」
「じゃあこれでどうだ?」
椅子に腰掛けた黛会長はチェアを揺らしながら勝ち誇ったような顔で私を見据える。