ピグが生きた一年半
深夜の再会
やがて、月日が流れ、

また桜の散る季節になった。


深夜のことだった。


カランコロン

何かの音にふっと目が

覚めた。


闇のむこうにぼんやり

見える猫の目。


「ピグ、ピグか?」

「そうよ、元気だった?」


ピグは人間の言葉で普通に

返事を返したが、

男にはどうでもよかった。


「今までどうしていたんだ?」


「お互い辛くなるからそれは

聞かないで」



男はその言葉で悟った。



「もうこの世にいないんだね」


「うん、心配かけたのに

ごめんね、わたしも必死で

あなたのところへ戻ろうと

したの、でもだめだった」



男は無念で目じりが、

じわぁ~っと熱くなった。


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