ピグが生きた一年半
「君を守れなくてごめん」


鼻水が、だらだらと

こぼれた。



「ううん、こんなわたしを

拾ってくれてとてもうれし

かった、生きててよかったって」



男は胸がつまって言葉がでない。



「いつも怯えてばかりで

あんまりかわいくなかった

でしょ、ごめんなさい」



「謝ることはないよ、

君をそんなふうにして

しまったのは私達人間

なんだから」



「いいえ、あなたはこんな

わたしをとっても大切に

してくれた」



「でも、私がもっと注意して

見てやっていれば、こんな

ことにならなかったはずだ、

済まない」



「わたしね、あなたがきっと

そんなふうに苦しんでいるんじゃ

ないかと思って会いに来たの。

だからもう苦しまないで」



「うん、わかった。

ありがとう、ありがとうピグ」



こらえきれないものが暗闇の中で

ポタポタと音をたてた。

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