平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「ふうん。まぁ、それならいいや。動物の医者に預けてくれるだけで有り難いよ。俺、そんな金も伝手もないから」

そう口にしたシモンが、中途半端に言葉を切る。

人里と関わらない暮らしが分かるようだった。自分から関係性を断って、避け続けているようにも感じる台詞だった。

見守っていたトナーたちが、何やら思った様子で顔を見合わせる。

その時、シモンが気を取り直すように髪を撫で付けた。

「それなら、取引きしよう」

「取引きだと?」

「ああ、そうだよ、『団長』さん」

シモンが、生意気な口調でわざとらしく呼んだ。まだまだ青年の面差しもない形のいい瞳が、真剣なジェドを前に恐れもなくニッと笑う。

「あいつが眠っている場所を教えるから、俺のことは見逃してよ。ひとまず身の安全の保証で、お姉さんをこっちに寄越して」

「何?」

ジェドの顔色が変わった。表情は冷静だが、声にも怒気が滲む。

「リズを渡すわけがないだろう。やっぱり下心があったんだなクソガキめ」

「下心? 何言ってんの? 俺、初心な子にはキスのサービスだってやってないのに」

「リズにキスしたらただじゃおかねぇ」

「だから、なんの話だよ。それに童貞でもないんだから、ぶちゅっと勢いでやったりしないって」

ませたイケメン少年に、トナーたちがぽかんとする。なぜか突然始まった言い合いに、リズも一瞬状況を忘れて呆気に盗られた。

< 148 / 192 >

この作品をシェア

pagetop