平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「よし殴らせろ」

「ちょ、取引きしようって話なんだってば! こっち来るなよっ」

ジェドが動き出したのを見て、シモンはびっくりしたようだ。

まるで、初めて近所の恐いパパに怒られる子供……の構図みたく、さっとリズを引っ張ってその背に隠れた。

「団長ひとまず落ち着いてくださいっ」

どうしてか『キス』に過剰に反応したジェドを、コーマックが後ろから羽交い締めで止める。

リズは、後ろで小さくなってシモンを困ったよう見た。

「あの、どうして私を寄越してなんて言ったの?」

「だから、身の安全のためだってば」

片方の頬を膨らませるシモンは、むかむかしている様子だが、顔立ちが綺麗なものだから可愛い。

ジェドを落ち着けたコーマックが、言葉を投げる。

「つまり、僕らが獣の方へ向かっている間に、君は逃げる。無事に双方の目的が果たされたらリズさんを解放する、というわけですね?」

「そ。逃げている最中に、そこの戦闘獣たちを向かわせられたら困るし」

リズの肩を掴んだシモンが、ひょいと顔を出してカルロたちの方を顎で差す。

「窃盗と強盗の罪があるから、捕まるわけにはいかないからね」

「おい、ちゃっかりリズに触るなよ」

イラッとした様子でジェドが口を挟んだ。

シモンが顔を顰める。

「そこの『団長』さん、さっきからなんなの? 偉そうなうえ、煩いんだけど」

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