平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
その時の恐怖で興奮したかのような、手紙の乱れた走り書き部分をジェドは指で叩く。

「あれほど大きな獣は、白獣の他に知らない、と」

魔力を持つ白獣は、亡霊になりうるのではないか。

聖獣としても崇められている存在であるので、とくに年配の者たちはそう思ったらしい。

長年壊れることがなかった巨大水車を倒す強靭な力。そして人間を見ると、過剰反応のように攻撃態勢の構えで歯を剥き出す性質……。

手紙に書かれていた目撃情報からすると、確かに白獣っぽくはある。

でも……とリズはジェドの話を聞きながら思ってしまう。

「そこで町と村の長たちは結論した。ありえん憶測話だが、数百年前の、白獣の亡霊が山の獣に乗り移って蘇った、と」

「それって、とても大きな獣だったんですよね?」

聞きに徹していたリズは、そこで声を上げた。

「別の獣が、大きな獣の姿に変わるだなんて……本当にあるんでしょうか?」

「正体が〝亡霊〟なのか、それとも別の何かなのかは分からない」

正直に述べて、ジェドは小さく首を横に振る。

「だが、完全には否定できないのも確かだ」

口にした彼の青い目が、真剣味を帯びた。

白獣は、ウェルキンス王国内で、唯一の魔力保有生物でもある。個体によって、その潜在能力にも差が出た。

その生態については、まだ不明点も多くあった。

「昔、一吠えで戦闘馬を吹き飛ばした白獣もいたらしい」

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